またね。

そう言って何度、握手をしたことでしょう。

8月の嵐の夜
父が亡くなりました。

氷バケツチャレンジで広く知られるようになった
ALSと同じく、特定疾患である
間質性肺炎という
難治性の病でした。

医師として、たくさんの患者さんと共に
病気と闘ってきた父。
泣き言ひとつ言わず
自身の病にも最期まで向き合いました。

病気が進行して
在宅酸素療法を始めてから2年ほど
月に一度は実家に戻る生活を
続けていました。

会うたびに弱っていく父を
見守ることしか出来ないことは
精神的に苦しかったけれど
父との他愛のない会話や
私が世界で一番
尊敬する仲良し夫婦
両親と一緒に過ごせた時間は
かけがえの無い宝物となりました。

最期のその瞬間まで
生きようとしていた父を
心に刻むことが出来て
本当に良かった。
病気と闘う父から
どれだけ勇気と力をもらっていたか。
いなくなったいま
改めてそう思います。

病院にお見舞いに行って
東京に戻る時はいつも
「またね。」
と言って握手をしていました。

出棺の時に
かけた言葉もやっぱり
「またね。」

葬儀の日は
ふわふわの白い雲が浮く
きれいな青空でした。
父もきっと悔いはなかったはず。

今日は四十九日。
また会える日まで
「がんばったなぁ」と
父に褒めてもらえるように
精一杯生きようと思います。

見守っててね。
ありがとう。